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ベートヴェン部門】上位三賞、1位ヨゼフィーヌ賞、2位アントニー賞、3位エリーゼ賞のネーミングについてのお話

結果発表に先駆けましてベートーヴェン生誕250年を記念して開催いたしました【ベートヴェン部門】上位三賞、1位ヨゼフィーヌ賞、2位アントニー賞、3位エリーゼ賞のネーミングについてのお話です。

ベートーヴェン部門の三つの賞について『苦悩から歓喜へ』というモットーで知られるベートーヴェンの音楽は現代を生きる私たちをなお奮い立たせて止みません。耳の病のほか身分差による成就しない恋愛という個人的な苦悩が、ベートーヴェンの、芸術に生涯を捧げる大きな原動力のひとつとなっていました。『エリーゼのために』はとかく楽聖として神格化されるベートーヴェンの、人間臭い一面を窺わせるものとして期せずして誰もが知る名曲となりましたが、39歳のベートーヴェンの失恋のエピソードが人々の興味を掻き立てます。

譜面に書かれたベートーヴェンの悪筆によるテレーゼ(・マルファッティ)の読み間違え説や、最近ではエリザベト・レッケル説が注目されていますが、エリーゼの名前が取って変わることはないでしょう・・。

『不滅の恋人』宛てに41歳のベートーヴェンがしたためた3通の手紙が、死後机の中から発見され未だ謎に包まれていますが、この投函されることのなかった手紙の相手として浮かび上がる名前のひとつがアントニー・ブレンターノ夫人です。52歳で最大のピアノ作品ディアベッリ変奏曲と(心づもりでは)最後の3つのピアノソナタを、実際は第30番はアントニーの令嬢マクシミリアーネに献呈していることから、家族も含め生涯にわたっての厚い信頼関係を結んでいた、良きベートーヴェンの理解者と言えるでしょう。

『唯一の人』とベートーヴェンが呼んでいたヨゼフィーネ・ブルンスヴィクも『不滅の恋人』と考えられてきましたが、28歳の時にハンガリーの名家ブルンスヴィク家に教師として出入りするようになってから30代のベートーヴェンの心をずっと占めていた女性でした。表立って献呈された作品はありませんが、テンペストを含む作品31のピアノソナタ、アンダンテ・ファヴォリ、歌曲『希望に寄す』作品32はヨゼフィーネに捧げられました。

さらには、熱情ソナタもテレーゼソナタもブルンスヴィク家のそれぞれ長男フランツ、そして長女のテレーゼに献呈されました。ベートーヴェンの周りの女性は他にも挙げられますが、どの女性も甲乙つけがたいかけがえのない存在であったであろうことから、この部門の賞もそれぞれの入賞者の方の演奏がかけがえのないものであるという思いを込めさせていただきました。

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